久しぶりに上越にある日本酒の名店「みゆき」に行ってきました。こちらのお店、メニューは流動的なんですが全国の銘酒を扱い、かつマスターがジャケ買い(ラベル買い?)してくる珍しい日本酒も楽しめる上に安いという、日本酒飲みには夢のようなお店です。
以前上越に住んでいた時はほぼ毎週のように通っていたお店なんですが、2回の引っ越しを経てかなり遠くに来てしまい、ここ数年は足が遠のいていました。
まずは生中から
凍ったジョッキにふわふわの泡!生中からしてレベル高いです。
お通し
今日のお通しはおでんでした。冬はおでん鍋が設置されていろんなタネを楽しめるのですが、この時期に食べられるのは珍しいです。出汁が美味。昔は日本酒の出汁割りもよくやってもらってたなー(超絶美味しいです)。
スペシャル餃子
めちゃくちゃニンニクが効いてます。たまにエグ味を感じる時もあるくらい大量に投入されてます。ニンニクの量が普通の「餃子」もあります。
「甦る」と「花陽浴」
「甦る 純米吟醸」は山形県の鈴木酒造店のお酒です。毎年、東日本大震災のあった3月11日にリリースされる特別なお酒です。この鈴木酒造店、もともとは福島・浪江町の酒蔵でしたが、震災後、山形県の長井市に蔵を移して再出発しています。命名からして感じるものがあります。
味はスッキリして飲み易い、どんなアテにも合う感じでした。みゆきでは毎年見るので、マスターも応援のために入れているのでしょう。一回二回ならともかく、そういったことを継続できるのはスゴイです。
「花陽浴 純米大吟醸 山田錦 おりがらみ」は、埼玉県の南陽酒造のお酒です。華やかな甘みが特徴のお酒なんですが、おりがらみになってさらに味・香りともにどっしりとした太さを感じます。自分的にはここまで味が強くなると…という感じでした。アテが一切要らないくらいというか、味がバッティングしてしまうような濃厚さがあります。美味しいのは美味しいんですけどね。お酒単品で完結できる味。
「夏泉」と「さくら OHANAMI」
「夏泉」は長野県の志賀泉酒造のお酒です。読み方は「なつみ」。こちらの酒造のお酒は初めて飲みました(多分)。甘みと酸味のバランスが良い、夏酒らしいクリアな味わいです。
「さくら OHANAMI」は栃木県の株式会社せんきんのお酒です。「仙禽」で有名な蔵ですね。お花見をイメージした限定酒・生酒です。こちらも初めて飲みました。株式会社せんきんの所在地が栃木県さくら市、こちらのお酒に使われている酒米がドメーヌさくら山田錦という、さくら尽くしのお酒です。
味は、甘さが少し強めで後にも残る感じ。開栓してしばらく経っているせいかもしれません。開けたてだとたぶん瑞々しさが際立っているんじゃないかな?(そういうレビュー多し)。
「ひと夏の恋」と「Hope!」
「ひと夏の恋」は宮城県の新澤醸造店のお酒です。「愛宕の松」で有名な蔵ですね。うちにある日本酒専用冷蔵庫は新澤醸造店とAQUAの共同開発なので、日々お世話になっている蔵でもあります。
もう何回も飲んだことのあるお酒なんですが、爽やかな甘さの中に最後、ほろ苦さが残る後味が素晴らしいお酒です。 夏酒なので季節限定なのかな。それにしては多のシーズンでもよく見るけど。ちなみに今年のラベルはコロナウィルスによる緊急事態宣言を受け、ハートがいつもより離れているそうです。
個人的な話ですが、この「ひと夏の恋」を飲む時にはなぜか、頭の中に小田和正の「真夏の恋」か「伝えたいことがあるんだ」が流れ出します。別に何かあったって訳じゃないんですが…。
「Hope!」も同じ新澤醸造店のお酒。こちらは「亀の尾」「山田錦」「雄町」という3種類の酒米を33%ずつアッサンブラージュ(混合)して作られている珍しいお酒です。直汲み無濾過生原酒。味は、ほとんど空きかけだったせいか酸味が高く、少しトゲ感がありました。調べてみると「スモモを思わせる甘酸っぱさ」とあるのでフレッシュな状態であれば美味しそうですね。
茄子のチーズ焼き
家にオーブンがあったら作りたい一品。美味。
ホッピーセット
ちょっと休憩でホッピーを。リターナブル瓶なので黒とか白とかは聞かれません。焼酎もたっぷり入っていて2〜3杯は楽しめます。
「鳳凰美田」と「ride? Light」
「鳳凰美田 碧版 純米吟醸 無濾過本生」は栃木県の小林酒造のお酒です。冬の限定酒で、マスカットタッチを表現しているとか。瑞々しさとスッキリした甘さが美味しいです。鳳凰美田は自分的にも好きな銘柄で、酒販店に置いてあれば手が伸びてしまうお酒です。だいたいどれを飲んでもハズレがないという素晴らしい蔵。
「ride? Light」は山口県の酒囲酒造株式会社のお酒です。「五橋」で有名な蔵ですね。以前、まだ獺祭ブームだった頃、山口県に親戚宅がある友人から「五橋」を薦められ、かなりの美味しさに唸った思い出があります。こちらのお酒は名前にLightと入っているように、低アルコールで飲みやすさを追求した印象のお酒。ラベルそのまんまなんですが、かなり甘酸っぱさを感じます。が、飲み易い。数量限定酒です。
「醸し人九平次」と「笑四季劇場」
「醸し人九平次 うすにごり 山田錦 生酒」は愛知県萬乗酒造のお酒です。押しも押されぬ人気のお酒で、味的にも鉄板です。今回飲んだ「うすにごり」は2019年に約7年ぶりに復刻したお酒で、完全予約制での販売だそうです。原則、店頭には並ばないとか(ネットでは売られてますが予約販売だからかどこも売り切れっぽい)。
味は、抑えめな甘さの中にかすかな苦みがあって、酸のキレでスッキリ飲める感じ。それでいてふくらみのある重厚さもあるという、複雑な味わいでした。裏ラベルの商品説明に「甘美な時間を約束する」と書かれていますが、まさにそんな感じの味わいでした。
「もう希望はないと君がいうまえに」は滋賀県の笑四季酒造のお酒です。こちらの酒造、「笑四季劇場」と称して中二病的な奇抜な名前のお酒をたまに出しています(過去には「僕が僕であるためのエトセトラ」「今夜、都内、某所」「風と雨とリグレット」「恋をするたびに 最終話 夢が覚める前に」「恋をするたびに… アンコールスペシャル 最後の二人の秘密」etc.「恋をするたびに…」はシリーズ化されていて、第9話とか鬱陶しいくらいあります。笑)。しかしこの笑四季劇場、気まぐれに造られるが故に再生産されず、出荷時期も未定でその時を逃すと二度と手に入らないという難易度の高いお酒でも有ります。
ちなみにそれぞれの命名の背景も実はちゃんとあるようで、今回の「もう希望はないときみがいうまえに」は、醸造中に野生酵母が紛れ込むという致命的な事態(こうなると売り物にならないことが多い。今までかけた時間、手間、材料費、人件費等が全部無駄になる)が発生したものの、奇跡的に出荷に耐えうる品質に落ち着いたため、低アルコールのまま上槽したようです。
味は、イチゴのような甘さと酸味が同居するフルーツのような感じ。でも後味はキレが良くてスイスイ飲める。不思議な美味しさをもつお酒でした。確かにこれは、狙って出すのは難しい味かも。
ポテトサラダ
ポテサラハムカツ部としてはいつオーダーするかタイミングを図っていた一品。もっと早い時間帯の方が良かったかな。
「作 IMPRESSION G」と 「作 IMPRESSION M」
「作 IMPRESSION」は三重県の清水清三郎商店のお酒です。「作」は2016年のG7伊勢志摩サミットで乾杯酒に選ばれて一躍知名度が上がり、入手困難に拍車がかかりました。
この「IMPRESSION」シリーズは、従来「PROTOTYPE(試験醸造)」としてリリースされてきた商品と入れ替わる形で登場したお酒です。試験醸造から正式に量産に移行したのですね。シリーズは全部で4種類「M」「G」「H」「N」があります。それぞれ「恵乃智」「玄乃智」「穂乃智」「中取り」の頭文字から名付けたそうです。
今回お店にあったのは「G(銀のラベル)」と「M(赤のラベル)」だけだったので、同時に飲み比べてみました。どちらも「火入れでありながら生酒のようなフレッシュ感を狙う」というコンセプト通りの味わいが出ていたと思います。「G」の方が気持ち酸味(フレッシュ感)が強かったかな。「G」は甘酸っぱくも白ワインのようなスッキリした味でした。「M」は爽やかな甘さが広がりつつ、味わうと旨味とコクもしっかり感じるタイプ。バランスが良い味でした。
明太子おにぎり
ラストオーダーで周りが頼んでいたのでつい便乗。こちらのお店のおにぎりはお米の味が立っていてとても美味しいです。
「ソガ ペール エ フィス Riz a Sake Naturel」
本日のドリンクラストオーダーは小布施の変態醸造元(冬季限定)・小布施ワイナリーの日本酒にしました。「ソガ ペール エ フィス Riz a Sake Naturel」です。裏の説明書きが長い長い。コダワリが詰まってるどころか溢れ出してます。
味は70%精米にも関わらず米の雑味は一切なく、甘みと酸味、旨味が一体となっています。コダワリが凄いだけじゃなくて味も凄い。流石。流行の華やか系日本酒とはちょっと毛色が違う味ですが、深みがあって美味しいです。
まとめ
いろいろ飲んだことのない銘柄を発見して嬉しくなり、3杯目からは半量売り(50cc〜60cc)でお願いして散々飲みました。13本中9本がまだ飲んだことのないお酒で大満足!
十四代や醸し人九平次、鍋島などの入手困難酒もスタンダードに入れつつ(たまに品切れあり)新しいお酒の開拓にも余念がない。ここまでの品揃えのお店は新潟県内では他にないなーと実感しました。
まだまだ飲みたい銘柄も沢山あったので、今年はみゆきにも積極的に飲みに来たいと思います。