天才の復活(吉平)

人生で最も美味しいとんかつを食べさせてくれたとんかつ屋「丸山吉平」が復活していたことを知り、喜び勇んでランチに行ってきました。

「丸山吉平」は「とんかつ檍」で修行した店主が2012年に浅草橋に開いたお店です。接客には賛否両論あったものの、「林SPF」の豚肉を精密な火入れで調理する圧倒的な美味しさから、あっという間に大行列店となりました。

しかし2018年に店主が大きな交通事故に遭い、何度も手術が必要になるなどし、復帰の目処が立たないとして惜しまれながら閉店…。店主は引退し、浅草橋の店舗は師匠筋の「とんかつ檍」が引き継いだという経緯があります。

店主の事故の状況からして「もうあの唯一無二の美味しいとんかつは二度と食べられないのか…」と至極落胆し、以後「丸山吉平」には触れずに生きてきたのですが…。

ひょんなことから情報が入り、店主は懸命なリハビリを経て神田岩本町に店舗を構えて復活し(2019-2023)、再度突然閉店したものの、現在は築地に移転して営業を続けていることが判明!もうね、震えましたね。これを知った時には。そして知った翌日に東京を経由するという僥倖。もはや完全に行くしかない状況。

もともと昼頃の新幹線に乗る予定でしたが、「吉平」のランチのラストオーダーが終わる前に店頭に到着せねばなりません。平日とはいえどれくらい並んでるか予想もつかないため、余裕を見て10:00台の新幹線に予約を変更して向かいました。

 

店舗外観

お店は築地4丁目にある「築地KYビル」の1階にあります。東銀座駅と築地駅の両方からちょうど1ブロックずつの中間点という中途半端な位置にあるため、わざわざ東京駅で地下鉄に乗り換えるのは…と思い、新幹線から乗り換えしやすかった山手線で有楽町まで行き、あとは徒歩で向かいました。徒歩だと信号待ちを入れても20分くらいで着けました。

ビルの周りに看板等は見当たりませんでしたが、意を決してビルの中に入ると、通路に沿ってオープンスペース的にお店が配置されているような造りになっていました。通路に沿って進むと「吉平」の特徴的な暖簾が見えてきて、「このビルで合ってたんだ。ちゃんと営業もしてる!」と安堵しました。

お店には13:00過ぎに到着したのですが、よもやの先客なし!平日とはいえ1時間くらいは待つかと覚悟して行ったんですが…。上の写真で真ん中くらいに立っているスタンドの裏側が記名台になっていて、通常だと記名したら列の後ろについて折り返しながら並ぶことになっています(事前調べ)。あまりに空いていたので暖簾を二度見しました。

誰も並んでいなかったので記名こそしませんでしたが、声をかけられるまでスタンドの前に立っていました(以前のお店での話ですが、「空いているからといって勝手に椅子に座ると店主に怒られる」「店主に声をかけられる前にこちらから声をかけると、無視されるか怒られる」というレビュー記事をいくつか読んでいたので)。

なおスタンドの前に立ってからは、比較的すぐに声をかけてもらえました。カウンターは全空きでしたが「端から詰めて」みたいな席の指定はなく、「お好きなところにどうぞ」とのこと。浅草橋時代のお店だと席は完全指定だったんですけどね(店主から「こちらにどうぞ」て言われた場所に座らなければならない。「変えてもいいですか?」は不可。一緒に来た仲間内でさえも席の位置変更不可だったのは、多分違う種類のトンカツをオーダしていて、揚げ時間の長短も考慮していたからだと思われます←実際に見た経験談)。

ちなみに自分の後に来たお客さんは誰も並んでいなかったからか、暖簾を開けて「ここ良い?」て声をかけて座ってました。それでも店主は別に怒ったり変な緊張感が発生することもなく…。そのお客さんはお店のシステムも分かっておらず、「定食はないの?」て聞いて説明を受けていたので(このお店には定食は無くて、「とんかつ」の種類とグラム数を選んだ後、ご飯と味噌汁は別にオーダーするシステムになってます)、多分通りがかりの一見さんなのでしょう。さらにその後来たお客さんは自分と同じように記名はしないけど声を掛けられるまで記名台の前に静かに立っていたり、暖簾を潜った後座って良い席の場所を聞いたりしていたので、多分「丸山吉平 経験者」か「予習してきた人」だと思われマス。

 

リブロース(250g)

かつて驚くほど柔らかな食感と脂のサラリとした甘み旨みで「丸山吉平といえばリブロース!」というほどの代名詞的存在となった吉平のリブロース。超久しぶりの再会を祝して、その「リブロース」を250gでオーダーしました。ご飯の量は半分で、味噌汁は付けませんでした。

提供は20分くらいは待ったでしょうか。一度揚げ油からパレットにとんかつを上げ、余分な油を切りつつ余熱でじっくり火を入れていくスタイルも懐かしいです。

小皿は特にオーダーしていないのですが、付いてきました。確か漬物系だったと思います。

 

リブロース(アップ)

目の粗いバリサクな衣!それでいて一切剥がれたりしません。食感も軽く油っぽさは皆無。完璧です。

 

リブロース(断面)

断面はピンク色!提供されてからもゆっくり余熱で火が入っていきます。とんかつ自体はサックリ噛み切れる柔らかさで、こんなに歯切れ良く柔らかいのにしっかり食べてる実感も伴う不思議な食感のとんかつは、正にここでしか食べられないと思います。

 

ラストピース

撮影したり結構ゆっくり食べた方だと思うんですが、それでも最後の1ピースまでピンク色が残っていて、しっとり浮かんだ脂も全然しつこくなっていません。250gはちょっと多いかなと思ったんですが、最後までサクサク食べられてしまいました。

 

おわりに

もう一生食べられないと思っていた唯一無二のとんかつを、まさかまた食べられる日が来るなんて…。感慨深いです。生きていれば、思いがけなく良いこともあるものですね。

もはや今後東京でのランチは全部このお店でいい!とまでは言い切れませんが、メニューを一見しただけでもリブロース以外に「ロース」「吉平リブロース」「HANAリブロース」「ひれ」「ぼーひれ」「肩ロース」「ボストンリブ」「ベリー」「ベリーリブ」「吉平ベリーリブ」と多彩です。ものによってはお値段も相当なものになりますが(最高値が「HANAリブロース」の6,500円;2026年1月時点)、順次攻略していけたらと思います。

レビュー記事を読むと現在の店舗でも1巡目や2巡目で売り切れになるメニューも多いみたいですし(リブロースが2巡目で品切れしたという記事もありました)、そもそも常に全種類が入荷しているわけじゃないみたいなので、食べられるとんかつはその日の運次第ってところもありますが…。

お店がまたいつか幻のように消えてしまう前に、機会を作って通い続けたいと思います。