東京2日目のランチは「銀座ろくさん亭」に行ってきました。1990年代に一世を風靡した「料理の鉄人」というTV番組で、初代「和の鉄人」だった道場六三郎氏のお店です。
お店は銀座6丁目にある「かねまつビル」の8階に入っています。位置的にはGINZA SIXの大通りを挟んだ向かいあたりと覚えておくのが良さそうです。路上看板等はありません。
開店10分前に着いたんですが、エレベーターを降りるとすぐ店内になっているようなので、開店時間まで1階のエレベーター前で待機してから8階に上がりました。が。実際に時間になって上がってみると、結構な人数がもうテーブルに着いていました。
自分はソロだったのでカウンター席に案内されましたが、何の因果か6席中ど真ん中の特等席でした(端から1-2-1-1-1 という並び方でした。右端の一人は12:00過ぎに来て、前日予約が必須のお高めコース料理をいただいていました)。
自分が座った席の真ん前では、料理長と思しき人が盛り付けや他の料理人の作業の最終チェックなどをしているのがバッチリ見えます。道場六三郎氏もたまに調理場に立つこともあるようですが、さすがに御歳94歳となるためか現場にはいらっしゃいませんでした。
3月の献立

ビルの一階、エレベーター前にあったものです。腰壁の位置あたりに案内板があって各階に入っているお店の店名のパネルが並んでいるんですが、「銀座ろくさん亭」のコーナーは店名ではなくメニューが掲載されていました。
テーブルセット

今回はランチコースでいちばんお値打ちな「旬彩膳」にしました。5,500円(税込)のコースです。
1階のメニューには「道場六三郎」のサインが入っていましたが、席に用意されていた和紙のメニューには料理長のみの名前が記されていました。うむむ…。
でもまぁ、メニューの考案と監修は道場六三郎氏がやっていることは確かなので、これはこれで良しとします。
春鶯囀(一合)

大きな錫のボウルにクラッシュアイスをたっぷり詰めて提供されました。見た目でテンション上がりますね!。山梨の「萬屋醸造店」で造っているお酒で、確か一合1,300円くらいだったと思います。
味はサッパリ爽やか系。変な甘さもなく、料理の邪魔をしないお酒でした。生ビールがグラスで950円もしたり、他の日本酒も軒並み1,500円前後でドリンクだけは銀座価格だったので、最後までこの一合で通しました。
前菜

左から「ホタル烏賊ヌタ・蛤寿司・チーズ西京焼き・花弁百合根・天豆・鯛子旨煮」です。お酒のアテを意識した前菜になってるそうです。ホタル烏賊ヌタ、蛤寿司、チーズ西京焼きが美味しかったかな。
うすい豆 擦り流し

鮮烈な緑!そして繊細な味。見事です!
造里 本日の一番魚

これは普通だったかな。
飯蛸と山菜 香味バター

焼物ですが、最初グラタンでも出てきたのかと思いました。ザクザクのパン粉が飯蛸の食感と山菜の甘みに対して絶妙なアクセントになっていました。結構パンチのある味で、もうちょっと量があったら嬉しかったかな。
鰆大根

鰆は低温調理した後、軽く揚げているそうです。外側のパリパリ感と肉厚な身のジューシーさの対比が素晴らしかったです。餡には四川山椒も使っており、爽やかな春を感じる逸品でした。
カレー饂飩

〆の一品。炊き立てご飯と赤出汁、麺類とお茶漬けから選べたのですが、他の方のレビューで気になっていた「透明なカレーうどん」を食べてみたくて選びました。
見た目は透明なスープに細めの饂飩が入っている感じなんですが、このスープに出汁とスパイスが良い感じで効いていて、控えめながら奥深いカレー饂飩の風味を感じます。これはすごい!スープが美味しすぎて一滴も残さず飲み干してしまいました。
デザート

バニラアイス。下にイチゴのソース。上に桜に見立てたチョコの粉末がかかっています。美味しゅうございました。
おわりに
「料理の鉄人」がやっていた頃はまだ学生だったので、自分が鉄人の料理を食べに行くことなんて当時は考えてもみませんでした。
成人してまずアルコールに目覚め、とにかく量を飲めればいい時代→せっかく飲むなら美味しい酒を→美味しい酒を飲むならアテも美味しくなくちゃね→本格的に美味しい料理を食べに行こう、という変遷を経る間に、世間では「料理の鉄人」という番組に触れられることもほぼなくなっていました。
自分も相当長い間気にもしたことがなかったんですが、ある時偶然「かつての鉄人たちは今」みたいなTV番組を見る機会があり、「あ、せっかくなら食べにいきたいわ」と思い、お店がどこにあるかを調べて最初に食べに行ったのが道場六三郎氏のお店でした。なぜ道場氏のお店を選んだかというと、調べてみたら鉄人のお店でしかも銀座にあるのにめちゃくちゃリーズナブルに感じた、という理由だったと思います。当時はまだ「銀座ろくさん亭」と「懐食みちば」という2店舗体制で営業していたので、道場六三郎氏自身が調理場に立つ確率が高いと思って「懐食みちば」に懐石コースを食べに行きました。
2021年頃に「懐食みちば」と「銀座ろくさん亭」は統合され、かつて「懐食みちば」として営業していた店舗が今の「銀座ろくさん亭」になっています(「懐食みちば」が閉店して「銀座ろくさん亭」に店名を変更した感じ。ただし「懐食みちば」は2023年に千葉県の松戸市にあるロピア内に復活しているようです)。
今回通されたカウンター真ん中の席は、かつて自分が銀座にあった「懐食みちば」に初めて訪れた際に座った席だったので、冒頭で『何の因果か6席中ど真ん中の特等席でした』と書きました。懐かしいですね。カウンター前のネタケースが無くなった以外、店内はほぼ変わっていなかった気がします。
料理は全体的にあっさりした味付けなんですが、それぞれの素材の味をしっかり感じられる美味しさがありました。余計なものは足さず、調理技法で極限まで旨みを引き出したような良質な料理をいただけたな、という印象を持ちました。
かつて憧れて訪れたお店は、今でも斬新で上質な和食をリーズナブルなお値段で提供し続けてくれていました。しかも当時とあまり変わらない値段で。
今日はこの後の流れ(夜も鮨会席のお店から日本酒飲み放題のお店へとヘヴィーな展開)とコース料理の値段設定(7,700円のコースは5,500円のコースから一品増えるだけ)からいちばん安い5,500円のコースにしましたが、可能であれば、道場氏がまだ健在のうちに、正規のフルコース(それでも15,000円くらい)を食べに訪れたいと思いました。