引き込まれる穴ぐら(どん底)

新宿三丁目にある1951年創業の老舗BAR「どん底」に昼飲みに行ってきました。BARといってもベストをパリッと着こなしたマスターがいるようなオーセンティックな感じではなく、ゴミゴミした老舗の酒場といった趣です。雑多な雰囲気と喧騒が似合う感じの。こちらのBARにはかの黒澤明監督や三島由紀夫もよく通っていたそうで、いわゆる「文壇BAR」といった意味でのBARでしょうか。

黒澤監督にも三島由紀夫にも特に思い入れはないのですが、昔新宿でよく飲んでいた頃、何度か行って雰囲気が良かった(猥雑で場末的な意味で)記憶があったのと、ちょうど昼に新宿で用があったため、久しぶりに訪れてみました。

用事が済んでお店近辺に着いたのは15:00過ぎ。近づくにつれて入り口に並んでいる人たちが見えます。「うーん、満席かな?」と近隣の候補店(ホッピーセットの焼酎がジョッキでなみなみと出てくるお店とか)を思い描きながら列の後ろに並ぶと、先に並んでいた人たちは4人組のグループで、何やら店員さんと揉めている模様。

聞こえてくる声によると、どうやら先に入店している人たちに合流しようとやってきたものの、お店側からすると「勝手に人数増やされても入れないよ!」との主張。グループの人たちは「自分たちは呼ばれてきたんだけど」というスタンスなんだけど、「じゃあそいつ呼べよ」と言われて電話をかけても呼んだ人と繋がらず、にっちもさっちも行かなくなっている状況ぽいです。

結局その人たちは一旦外に出て、「あ、すいませんお先にどうぞ」と言われ自分が中に入ったんですが、そこで件の『呼んだ人』が店内から登場。電話に出なかった理由は分からないけれど、当人登場ということで店員さん(たぶん店長?か同等クラス)はヒートアップ。「何後から勝手に人数増やしてんだよ」「人数増えるなら最初からそう言えよ」とガン詰め(口調は丁寧だけど勢いと強さがある)。件の『呼んだ人』は最初のうちこそ「最初は来る予定はなかった」「途中で連絡が来て懐かしいねってなって久しぶりに集まろうよって…」とか反論していたものの、店員さんから「だったら席が空いてるか確認してから呼べよ」「今座ってるテーブルにあと4人座れないのなんて分かってただろう」「聞くのが嫌だったら他の店探してみんなで行けば良いだろう」等々勢いのある正論でぶん殴られ、最後は平謝りしてました。

うん、まぁ店員が正しい。とは思ったものの、その後「俺だってこういうこと言いたくないし、あんただって言われたくなかったろう」「もうちょっと考えて動いてくれればいいわけよ」等々お説教モードに入り、こちらは延々と待たされる始末。

ひとしきりお説教を目の前で聞かされてるうちに、「正論攻撃モードから謝った相手に説教かますモードに入って得意げに人生論語ってるあんたは気持ちいいかもしれないけど、いい加減にしてくんないかな。こっちのことも目に入ってるだろうに」という気持ちになりました。老害ってこういうことか(この人が老人かどうかは知らないけど、自分の人生論を弱った相手に得意気に語るような人間にはなりなくないなぁ、と思いました)。

トータル20分ほど待たされた挙句、「待たせたね」の一言もなく案内されたのは地下のカウンター席。低い天井とタングステンのような灯り、ゴミゴミ具合が最高で、まさに「穴ぐら」といった雰囲気でした。この雰囲気だけで3杯は飲めそう。あまりに良い場末感だったので、さっき待たされていた時の感情なんてどこかに飛んでいってしまいました。

 

どん底カクテル

創業当時からあるお店の名物メニューです。略して「ドンカク」。作り方を見ているとボトルから原液を注ぎ、炭酸で割っているだけですね。ボトルの中身は企業秘密だそうです。

 

ミックスピザ

こちらも名物メニュー。チーズが溢れんばかりに載ったピザです。具材はあんまり覚えてないんですが、とにかくトローリとしたチーズが垂れまくります。チーズ好きにはたまらない逸品だと思います。

 

生ビール

上背があるのでそこそこの量が入ってます。これで700円なら妥当かな。

 

ハーフ&ハーフ

黒ビールは味が強めなので、2杯目はハーフ&ハーフにしました。

 

どん底カクテル

〆はやっぱり「ドンカク」にしました。略すのは何だか通ぶってる気がするので自分がオーダーする時は「どん底ください」って言ってましたが、これはこれでおかしいか?

 

どん底ボトル

どんなものか見せてもらいました。横からも撮ってみたんですが、とある商品名が書いてありました。え?そうなの?そういう…?

空いたボトルを流用しているわけではなく、「ボトルに詰められて工場から完成品が送られてくるので、それを割っているだけなんですよ」て言われましたが。

 

おわりに

スタート前はアレだったんですが、雰囲気は唯一無二。基本予約はできない(諸々の条件に合致すれば予約できるらしいですが…)ので行った時勝負になりますが、またこのカオスな空間に飲みに行きたいと思いました。

あと、ゴミゴミ入り組んだ店内なのでどこの会社の電波がどこまで入るのかわかりませんが、とりあえず今回入った地下の階段近くのカウンター席はauの5Gが使えたので快適でした(そういや昔行った時はドコモの電波が入らなかった記憶があります)。