米子で発見した銘酒居酒屋(伊在)

いったんホテルに帰ってお風呂入ったり部屋に備え付けのマッサージチェア(買うと30万円くらいしそうな本格的なヤツ)で身体をほぐして疲れを取りつつ、「今回の旅行では美味しい日本酒が一切飲めなかったなー」と思いながらぼんやりお店を検索してました。

すると何だかビビっと来るお店を発見したため、ラストチャンス!とばかりに一人で飲みに出かけました。時間はもう22:30。念のためTELして開いているか確認すると「まだ大丈夫ですよー」とのこと。24:30閉店らしいです。

お店には少し迷いながら15分くらいで辿り着きました。ちょっと奥まったところにある印象でしたが、記事を書きながらGoogle MAPで確認すると、米子駅前のメイン通りから一本入ったくらいのところにありました(米子駅から300m)。

お店は非常に狭く、入ってすぐカウンターがあります。カウンターは多分6人くらいしか座れないかと。奥には座敷もあるようですが見てないので収容人数は不明です。

メニューには日本全国の銘酒がずらりと並んでいます。有名な銘柄から見たことないものまでいろいろあって、一気にテンションが上がります。23:00近くになってこんな良いお店に巡り会えるなんて運が良い!時間が惜しいので早速目についた順にオーダーしていきました。

 

「皐月ロ万」「みむろ杉 特別純米辛口 露葉風」

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皐月ロ万 

めちゃくちゃフルーティー。本当にメロン果汁みたいな味。ロ万の中でもこれがイチバン好きかも。皐月って名前がついているように、時期限定のお酒です。これは来年どこかのお店にあったらぜひ入手したい!

 

みむろ杉 特別純米辛口 

みむろ杉は酒の神様をバックに付けている酒蔵です(酒の神が静まる大神神社のある三輪山の麓、日本最古の杜氏が祀られている活日神社がある三輪地域に酒蔵を構える)。dancyu 2020年2月号の日本酒特集でも大きく取り上げられています。

昔、この蔵の無濾過か何かを飲んで「杉感がキツいな」と思って以来飲まなかったんですが、最近話題になっているし、お猪口一杯当たり330円と安かったので飲んでみました。

うん。昔よりは美味しいけど、山廃系の味をほんのり感じるから好みじゃないかな。昔ながらの日本酒をアップデートしましたって感じでした。 

 

「而今 純米吟醸 千本錦火入」「田光 純米吟醸 赤磐雄町」 

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而今 純米吟醸 千本錦火入

三重県の木屋正酒造のお酒です。もともと人気銘柄で入手困難酒でしたが、伊勢志摩サミットで使われてからは尚更個人での入手が困難になりました。とはいえお店では置いてあるところも多く「而今 千本錦火入」は比較的よく見るラベルですね。美味しさは折り紙付きだけど珍しくはないかな。でもメニューに見かければ飲んでしまいます。

 

田光 純米吟醸 赤磐雄町

自分的密かな注目酒「田光(たびか)」。こちらも三重県のお酒です。家族経営で3人で醸している超少量醸造蔵です。酒造好適米を100%使用して槽搾りした純米酒を「田光(たびか)」、その他を「早春」と2ブランドに別けて展開しているようですが、もともとの地消ブランドが「早春」、若社長が新しく上喜元の佐藤杜氏に師事して作り上げたブランドが「田光」って理解した方が早そう。

「早春」は飲んだ覚えがありませんが、「田光」は自分が上喜元好きなのもあって、明確に「美味しい!」と認識しているお酒です。華やかすぎずまろやかな甘みがあり、今回も期待に違わない美味しさでした。

 

「仙禽・線香花火」「二兎 純米吟醸 雄町五十五」 

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仙禽・線香花火 

仙禽ならハズレはないだろうとオーダーしました。ラベルが趣深くて素敵。味ももちろん美味。甘みの中にほのかに苦さ、かすかな酸っぱさのある行く夏を惜しむかのような爽やかなお酒。四合瓶で売ってたら、このボトル(ラベル)が欲しいが為に買いたい…。

 

二兎 純米吟醸 雄町五十五

愛知県岡崎市にある丸石醸造が醸す、「二兎を追う者しか二兎を得ず」というコンセプトの元に造られている日本酒です。その意図は『「味」と「香」、「酸」と「旨」、「重」と「軽」、「甘」と「辛」といった一見して二律背反する要素を、最高のバランス・味わいで楽しめるよう贅沢に追い求めたお酒』とのことです。

実際飲んでみると、確かに飲み口は酸を感じるものの後から甘みが来て、引き際はスッと消えていく…というと言い過ぎですが、そういう方向性を目指しているのかな、とは感じられました。一言でいうと「普通に美味しいお酒」。

 

「作 伊勢志摩コンセプト」「まんさくの花 MK-Y2018」 

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作 伊勢志摩コンセプト 

伊勢志摩サミットに向けて限定醸造されたお酒らしいですが(サミットで使われたお酒ではない)、公式サイトには載っていません。通販サイトでも見かけないのでもう手に入らないのかも。

味は透明感のあるフルーティな甘さ。微発泡も感じます。後味はサッパリ。普通の作より甘みが強い感じもしますが、飲み飽きしない美味しいお酒でした。

 

まんさくの花 MK-Y2018

秋田の「日の丸醸造株式会社」で醸されている日本酒です。MKは「Mansaku Koubo Project」の略らしいです。蔵付分離酵母と日本で唯一この蔵のみで使っている酒米「日の丸」で醸されている、超絶稀少なお酒です。 

味は、まろやかで甘いんだけど後味に酸味と苦み、ナッツ系の風味を感じる複雑な味。自分の好みの味かというと微妙なところ。特に後味が好みとは違う感じ。

シリーズものとして他に「MK-X」と「MK-Z」があるらしいけど、自分が今まで見たことがある・飲んだことがあるのはこの「MK-Y」だけかな。

 

「丈径 blue 本生」「宮泉 純米酒」 

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丈径 本生

飲んだことがない島根のお酒があったのでオーダーしてみました。味は…。うーん。芳醇サッパリ系?うまく言えないけど、最初は少し甘みを感じるけど後味は苦めでキレがある感じ。匂いがちょっとセメダインぽくて苦手。味もそんなに美味しいとは思えなかったかな。

 

宮泉 純米酒

「冩楽」で有名な福島県の宮泉銘醸の別銘柄。2018年のSAKE COMPETITIONで見事1位の栄冠に輝いたお酒です。「冩楽」の方が先行して評価されたんですが、宮泉銘醸がもともと醸していたお酒が「會津宮泉」。蔵を継ぐために戻ってきた宮森義弘氏が杜氏となって「冩楽」を造り出し、一方で旧来の杜氏らは不味くて売れない「會津宮泉」を造り続けるといういびつな態勢がしばらく続いていたそうです(実際、冩楽が出る前の宮泉銘醸は赤字続きで倒産寸前だったとか)。

その後「冩楽」の杜氏をしている宮森氏が「會津宮泉」の醸造責任者も兼ねることになり、がらりと味を変えた「會津宮泉」はコンペティションで1位を獲得。今や知る人ぞ知る人気銘柄になっています(まだ「冩楽」の方が有名)。

味は「冩楽」に寄せたのかフルーティながら酸味も感じ、キレも良し。バランスの妙を感じる美味しさでした。

 

「よこやまSILVER 純米吟醸」 

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30年ぶりに壱岐島で復活した日本酒だそうです。レアすぎて言葉も出ない。そして美味しい!壱岐島は長崎県、このお店は鳥取県。アンテナの高さが素晴らしいです。

 

飲み比べセット

実は「皐月ロ万」と「よこやま SILVER」以外は、3種飲み比べセットでいただきました。だいたいお猪口一杯330円と、揃えてある銘柄からすると破格のお値段です。グラス(多分120ml)で飲んだ「皐月ロ万」でも770円でした。

 

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おわりに

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有名無名を問わず全国の銘柄揃えていて、マスターもめちゃくちゃ日本酒に詳しくて、味の傾向やバックボーンも教えてくれる。旅の最後の夜に素晴らしいお店と出会えました。

こんなお店が近所(同一市内)にあったら絶対通いつめると思います。いやむしろこのお店に来るために米子に旅に出たい。そして次回来る時は予約して、オープンラストでメニューを左上から右下まで順番に飲み続けたいです。